アジャイル型組織とは何か?

【目次】
アジャイルについておさらい
アジャイル型組織の特徴
アジャイル型組織のメリットと課題
まとめ
これまでアジャイル型開発についてざっくりと学んできましたが、学びを進めていく中で、度々「アジャイル型組織」という言葉を目にしました。
システム開発の手法として学んできた「アジャイル型」ですが、どうやら組織形態にもその概念が適応されているようです。
今回は、そんな「アジャイル型組織」について学んでみたいと思います。
1. アジャイルについておさらい
まず、「アジャイル」の概念について軽くおさらいしてみます。
「アジャイル(agile)」には、「素早い、機敏な」という意味があり、事前に細部まで計画を立てず、計画~リリースまでのサイクルを短期間で繰り返し実施しながら開発を進めていく手法のことを、アジャイル型開発と呼んでいました。
各機能の開発を独立させることができるため、途中の仕様変更などにも少ない工数で柔軟に対応できるのがアジャイル型開発の大きな強みでしたね。
このアジャイル型開発の概念を組織全体に当てはめて考えられたものが、「アジャイル型組織」 です。
2. アジャイル型組織の特徴
アジャイル型組織の特徴を一文で表すと、
柔軟性、機敏性の高い組織構造となっており、迅速な意思決定のもと、実行・改善を繰り返すことで市場や社会情勢の複雑な変化にも素早く対応しながら、新しい価値を提供していく組織
となります。 ちょっとわかりづらいですね。
もう少し詳しく見ていきましょう。
フラットで自律分散な組織構造
アジャイル型組織では、目の前の顧客のニーズを第一に考えるべく、従業員あるいはチームに権限が分散されています。
これにより、各従業員は必要な権限を持って自律的に業務に当たれるようになります。
また、自社の定型的なプロセスよりも変化への対応が優先事項となっており、リーダーはコントロールよりも各自の自主性を重んじる傾向にあります。
こうした自由さが、従業員から常に新しいアイデアを引き出し、イノベーションを生む土壌になると考えられているようです。
フラットな組織階層の中に少人数のチームが分散して自律的に動き回り、迅速にビジネスプロセスを、回していく
というのが大きな特徴のようですね。
明確なビジョン
戦略を練る際や新たなビジネスモデル、価値観を創造する際など、事業や考えに一貫性を持たせるために、行動指標や目的、ビジョンを明確にしています。
アジャイル型組織ではこうしたビジョンのことを「北極星」と表現しているそうで、この北極星は、従業員が心から共感できる内容となっているのだそうです。
ビジョンや目的と聞くと、ビジネス色が強い印象がありますが、北極星と言われるとビジネス色も薄まり、「目指すべき道」という概念がスッと入ってくるような気がしました。
3. アジャイル型組織のメリットと課題

まずはメリットから、見ていきましょう。
メリット① 生産性の向上
スピーディーに業務を回していくことで、組織全体の生産性の向上が期待できることに加え、従業員は自分のアイデアに基づいて自律的に行動する権限が与えられているため、成功への意欲が高まり、個々のパフォーマンスの向上も期待できます。
メリット② 意思決定の速さ
意思決定権が従業員一人ひとりに分散されているため、意思決定の際の無駄な会議や承認待ちの時間を省くことが可能になります。
このことは、顧客ニーズを素早く察知し、そのニーズが最も高まった段階で価値を提供することを可能にするため、ビジネスチャンスを掴み取りやすくなります。
メリット③ エンゲージメントの向上
組織として目指すべき方向性(北極星)が明確に掲げられているため、従業員がビジョンを共有しやすくなります。
また、自由な裁量権を与えられ、チャレンジできる環境やお互いにサポートし合う姿勢が根付いているため、仕事にやりがいを感じ、モチベーションの向上、ひいてはエンゲージメントの向上が期待できます。
たとえ失敗してしまったとしても、自分で考え、意思決定し、結果を出していく経験は、その人の成長に大きな影響を与えますよね。
失敗のリスクを考え、なかなかチャレンジできない環境もある中で、こうしたスタンスは魅力的に思えるかもしれません。
次に、課題について見ていきたいと思います。
課題① マネジメントが困難
自律的に行動するのが前提であるため、細かいタスクが増えてプロジェクト全体が複雑化しやすいほか、従業員それぞれが全体のスケジュールに沿って動けているか、的確にマネジメントするのが難しくなります。
そのためプロジェクトマネージャーには、メンバーを信頼して業務を任せながらも、適切なタイミングで業務の進捗状況を検証し、軌道修正を図っていくという高いマネジメントスキルが求められます。
課題② 顧客とのコミュニケーションが必須
最適なタイミングで最適な価値を提供するためには、リアルタイムで顧客ニーズを把握する必要があります。
そのため、顧客との密なコミュニケーションが必要不可欠となり、顧客側の理解を得られず、コミュニケーションが疎かになると 指針を失い、組織は迷走してしまいます。
課題③ 個々に応じた支援・育成が重要
組織には、経験豊富で多数のスキルを身に付けているメンバーと、経験が浅くこれからスキルを身に付けていくメンバーが在籍しています。
自律行動が基本と言っても全員が同じレベルで行動できるわけではないため、従業員一人ひとりに合わせた支援や育成方法を検討し、実施していく必要があります。
また、組織行動に慣れている日本人の気質により、自律的に動いていいと言われてもかえって困惑してしまい、萎縮して能力を発揮できない メンバーもいるかもしれません。
このような中では、メンバー一人ひとりとしっかり向き合う時間が重要となってきます。
アジャイル型組織は、きちんと機能すれば多くのメリットが生まれますが、機能させるためにはプロジェクトマネージャー、メンバー一人ひとり、そして顧客や協業者など、全員の協力が必要不可欠であり、特にマネジメントにおいてはプロジェクトの進捗面のみならず人材面でも細かなフォローが必要となることがわかりました。
4. まとめ
今回はアジャイル型組織について学んできましたが、そもそもアジャイル型組織が近年注目されている背景には、「ビジネス環境の変化スピードの高まり」と「DXの推進」があると言われています。
VUCAの時代、予測できない様々な出来事によって、ビジネス環境が激しく変化するようになりました。デジタルテクノロジーを駆使して経営変革を行う「DX」も、その流れの中で重要性が高まっています。
目まぐるしく環境が変化し複雑化する中で、顧客のニーズをいち早く察知し、最適な価値を提供するという点において、スピード感を持つアジャイル型組織はまさに時代に適した組織形態であると考えられます。
しかし、だからと言って、すべての組織を「アジャイル型」にするのが良いというわけではありません。従来通りの組織形態の方がうまく機能する部門もあると思います。
何を変え、何を変えないのか、自社の風土や従業員のことを考えながら見極めていくことが重要であるということが、今回の学びを通して理解できました。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


