心理的安全性がもたらすもの

【目次】
心理的安全性とは
心理的安全性が注目された背景
心理的安全性がもたらすメリット
まとめ
皆さんは、「心理的安全性」という言葉を知っていますか?
私はこの言葉を昨年初めて知ったのですが、どうやら組織の生産性を高めるうえでは欠かせない要素なのだそうです。
DXの推進が当たり前にビジネスの世界に入り込んできた現代では、生産性向上というとデジタル技術を使った業務フロー改善などを思い浮かべてしまいますよね。
そんな、テクノロジーの活用とは全く異なる切り口で組織の生産性を高める「心理的安全性」について、そもそも「心理的安全性」とは何なのか、組織にどんな効果をもたらしてくれるのか、2回にわたって少し詳しく学んでみたいと思います。
1. 心理的安全性とは
「心理的安全性(psychological safety)」とは、組織・チームの中で、対人リスクを恐れずに思っていることを気兼ねなく発言できる、または話し合える状態や雰囲気のことを指すようです。
どういうことかと言うと、例えばチームミーティングの中でものすごく初歩的な疑問を抱いたときに、「今さらこんな質問をしたら、バカだと思われるかな・・・」などと考えることなく、自分の疑問や意見を率直にチームのメンバーに伝えられる状態のことを言います。
つまり、心理的安全性が高い環境とは、他者からの反応に怯えたり、恥ずかしいと感じたりすることなく、自然体の自分をさらけ出せる環境であると言えますね。
では、「心理的安全性」という概念は、いつ頃からビジネスの世界で注目れるようになっていったのでしょうか?
2. 心理的安全性が注目された背景
そもそも「心理的安全性」という概念は、1999年に組織行動学を研究するハーバード大学のエドモンドソン教授によって提唱されました。
「サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)」を日本語に訳して「心理的安全性」であり、エドモンドソン教授はその定義を、
「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」
としています。
意外と新しい概念で驚きましたが、「心理的安全性」を一躍有名にしたのは、2016年にアメリカのGoogle社が「心理的安全性がチームの生産性を高める重要な要素である」と結論付けたのがきっかけのようです。
プロジェクト・アリストテレス
アメリカGoogle社は、2012年から4年の歳月をかけて、高い実績を上げ続けるチームにはどのような特徴があるのか、その必要条件を探る調査(プロジェクト・アリストテレス)を実施しました。
社内の数百に及ぶエンジニアや営業などのチームを分析の対象として、どのようなチームがより生産性が高い働き方をしているかを調査し、その結論として、「チームの生産性・パフォーマンスを高める最重要要因は心理的安全性である」と公表したのです。
具体的には、心理的安全性の高いチームのメンバーは、離職率が低く、他のチームメンバーが発案した多様なアイデアを上手く利用でき、収益性が高く、マネージャーから評価される機会が2倍多い、ということが分かったそうです。
心理的安全性の高さでこんなにも差が出たのは驚きですよね。
離職率が低いということも、終身雇用制度が崩れ、人材の確保・定着が前ほど簡単ではなくなってきた日本企業にとっては重要なポイントになってくるのではないかと考えます。
プロジェクト・アリストテレスでは効果的なチームをつくる重要因子として、心理的安全性の他に「相互信頼」「構造と明確さ」「仕事の意味」「インパクト」も必要であることを導き出しています。

このように、米Google社の調査によって「心理的安全性」は広く知れ渡り、組織やチームの成長に欠かせないものとして注目されていったということでした。
3. 心理的安全性がもたらすメリット
ここからは、心理的安全性が組織に、そして個人にどのようなメリットをもたらすのかについて、学んでいこうと思います。
メリット① チーム内のコミュニケーションが活発になる
心理的安全性の高い組織では、たとえ上司と部下の関係であっても、率直に意見を言ったからといって非難される心配がないため、自ずとメンバー同士のコミュニケーションが増え、相談や意見交換が活発になります。
一見どんなに突飛だと思える意見でも、それを発言したことでバカにされたり、恥ずかしい思いをすることはないという安心感があるため、新しいアイデアが出やすくなり、結果としてイノベーションが生まれやすくなります。
互いに協力し合う雰囲気も生まれ、パワハラなどの問題も起こりにくくなると言われています。
メリット② 問題の早期発見・対処が可能になる
心理的安全性が高いと、ミスや失敗をしてしまったときに「お前は使えないやつだ!」などと非難されるかもしれないという不安が少なくなるため、ミスの報告をせず(できず)に黙っている・・・といったことを防げるようになります。
ミスや失敗をきちんと報告することへの不安がないため、組織として問題に素早く対処することができ、事態が悪化してからミスが発覚するという恐ろしい状態まで陥ってしまう可能性が低くなります。
メリット③ 個々のパフォーマンスが向上する
心理的安全性が高く、互いを尊重し合う環境では安心して仕事に集中できるため、個人が本来持っている能力を発揮しやすくなります。
互いの頑張りを素直に認め合える組織に属していると、仕事へのモチベーションが高まり、自発的にスキルアップをするメンバーが増えたり、それを見て他のメンバーがまた自己研鑽に励んだりと、相乗効果で組織としてのレベルがどんどん上がっていきます。
このことは、生産性の向上に大きく貢献すると考えられます。
メリット④ エンゲージメントが向上する
自分の能力を存分に発揮でき、そしてそれを認めてもらえる組織に対しては、誰しもが居心地の良さを感じると思います。
居心地が良い、仕事がしやすいといった心理的に安全な環境にあるメンバーは、自分の能力や特技などを活かしながら働けるため、ここで長く働きたいという思いや組織への愛着心(エンゲージメント)が高まり、結果として優秀な人材が定着することにも繋がります。
こうしてみると、心理的安全性が高い組織って良いことだらけですよね。
「風通しの良い組織・職場環境」を目標として掲げる企業は多いのかな、と個人的に思っておりますが、上記のメリットを学んでみて、「風通しの良い」という言葉は「心理的安全性の高い」に言い換えることができるなぁと思いました。
「風通しの良い職場」って具体的にどういうこと?と聞かれる機会が今後もしあったら、「心理的安全性の高い職場のことです。例えば・・・」と、すらすら回答できるようにしておこうと思います。
4. まとめ
今回は、「心理的安全性」とは何か、どんなメリットがあるのかについて学んでみました。
心理的安全性の高い組織は良いことづくめな組織だということが分かりましたが、一歩間違えればただの馴れ合いのような組織にもなってしまいそうですし、日本人が得意とし、社会生活を営む上では重宝されやすい「空気を読む」という行為は、心理的安全性を形成する上ではネックになりそうだという感想を、今回の学びを通して抱きました。
次回はこういった視点も持ちながら、心理的安全性を高める方法について学んでみたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


