心理的安全性を高めるには

【目次】
心理的安全性が低いとどうなる?
心理的安全性を高める4因子
まとめ
前回のブログ記事では、「心理的安全性」とは何か、どのようなメリットをもたらすのかについて学びました。
軽くおさらいすると、「心理的安全性」とは、組織・チームの中で、対人リスクを恐れずに思っていることを気兼ねなく発言できる、または話し合える状態や雰囲気を指し、心理的安全性が高い組織では、コミュニケーションが活発になったり、問題の早期発見・対処が可能になったり、個々のパフォーマンスやエンゲージメントが向上するのでしたね。
とても良いことづくめな組織であることを学びましたが、一方で心理的安全性が低いと、組織やメンバーはどうなってしまうのでしょうか?
今回は、心理的安全性の低さがもたらす影響から学び始めたいと思います。
1. 心理的安全性が低いとどうなる?
「心理的安全性」という概念の提唱者であるエドモンドソン教授は、心理的安全性が低いと、以下の4つの不安要素がメンバー一人ひとりに生まれると懸念しています。

一つずつ見ていきましょう。
① 無知だと思われる不安(Ignorant)
質問や確認をしたくても、「こんなことも知らないのか」などと思われないか不安になり、気になることがあっても質問ができなくなります。
こうした状態に陥ると、例えば確認しなかった(できなかった)ことによってミスが生まれ、その結果上司に非難されるなどといった経験をしてしまい、ますます質問できなくなるといった悪循環が生まれてしまいます。
そのうち質問だけでなく、相談することにも不安を感じるようになり、チームのコミュニケーション量も減少していってしまいます。
② 無能だと思われる不安(Incompetent)
ミスをしてしまったときに、「仕事ができないやつだ」などと思われないか不安になり、自分のミスや弱点を認めなかったり、ミスを報告しなかったりするようになります。
こうした不安があると、失敗することを恐れ、新たな挑戦もしにくくなるため、結果としてイノベーションが生まれにくくなってしまいます。
③ 邪魔をしていると思われる不安(Intrusive)
「自分の発言によって本題から外れてしまわないか?」「この場でこんな発言をしたら進行の妨げにならないか?」などと、空気を読みすぎて話の邪魔をしていると思われないか不安になり、提案や発言をしなくなります。
前回も少し触れましたが、「空気を読む」という行為は、「阿吽の呼吸」などという言葉もあるように、日本人が得意とする振る舞いであるとされています。
空気を読むことが、ビジネスの場面や社会生活を営む上で好意的に働く場面は多々あるでしょう。
ただ、心理的安全性の観点から言えば、「空気を読む」という行為は、「心理的安全性の欠如した状態」であると言えます。
会議において、決まりかけていたことに反対意見を述べることは、日本では多くの場合、「水を差す」として嫌がられますよね。
ですが、心理的安全性が担保された組織では、どんなタイミングでも反対意見を述べることは何の問題もなくメンバーに受け入れられます。
会議の邪魔をしないよう、議論が円滑に進むよう空気を読んで発言しないということは、本音で話す機会が減少することに繋がります。
本音で話す機会が少なくなると、信頼関係の構築にも影響が出てしまい、自然に助け合ったり、互いを高め合ったりという行動が生まれにくくなってしまいます。
④ネガティブだと思われる不安(Negative)
良い改善案を思いついて提案したくても、「いつも批判ばかりだ」などと否定的に捉えられないかと不安になり、反対意見や現状への批判を言わなくなります。
対立を避けて反対意見を言わないことで、組織の仲の良さを保てるかもしれませんが、ただ仲が良いだけで反対意見や批判などの刺激がない組織は、組織としての気づきや学び、成長が乏しくなり、ただの馴れ合いのようになってしまいます。
表面的にのみ人間関係が良好な馴れ合いの組織では、メンバーの意識・意欲も上がらず、組織としての生産性も上がらなくなってしまいます。
こうして見ると、心理的安全性の低い組織には所属したくないと、誰もが思うことかと察しますが、日本の企業にはこうした組織は少なくないのではないか、と感じてしまいます。
「空気を読む」なんて、むしろ意識的・無意識的問わずに日ごろから読みまくっている方も多いのではないでしょうか。
これから先、少しでも心理的安全性が担保された組織が増えていくことを願うばかりではありますが、心理的安全性を高めるためにはどのようなことに着目したら良いのでしょうか?
こちらについても学んでみたいと思います。
2. 心理的安全性を高める4因子
心理的安全性が高い状態では、以下の4つの因子が揃っているようです。

① 話しやすさ
意見交換やミスを含めた報告、その他雑談など、内容を限定せずに何でも話し合えるような、安心できる環境が必要です。
日ごろから心理的にリラックスできる環境が保たれていると、ためらうことなく質問や反対意見などを言うことができます。
② 助け合い
課題に直面したりトラブルが発生した際に、メンバー同士で互いにサポートし、協力し合える体制が整っていることが必要です。
「助け合い」は、チームワークを構築する上で重要な要素となります。
③ 挑戦
何事にもまずはやってみようという精神で、挑戦的な意思決定や行動ができる組織風土を醸成することが必要です。
過去に前例がない提案であっても、突っぱねることなく歓迎し、挑戦を後押しすることが、結果的にはイノベーションの創出に繋がっていきます。
④ 新奇歓迎
価値観や視点の違いを受け入れ歓迎することが必要です。
他と違う意見を持つことや目立つことを恐れなくなり、個性や才能が見えるようになるため適材適所の人材配置にも繋がります。
これらの4つの因子が揃っているときに、組織メンバーの誰もが不安なく発言でき、互いに手を差し伸べ合い、挑戦することを恐れず、新しい考えを取り入れることに積極的になれる、つまり、心理的安全性が高く保たれている状態にすることができます。
こうした組織をつくり上げるには、まず組織のリーダーと、個々のメンバーとの間の信頼関係を構築する必要があるようです。
信頼関係の構築に当たり、互いに関心を持ち、話を聞いたり聞いてもらったりする機会は非常に重要です。
1on1等を通してまずは率直に意見を言い合える関係をつくっておくと、チーム全体の心理的安全性にも繋がっていきます。
また、新しく組織に来た人や年次が低い人などが発言しやすくなるよう意識的に発言を促したりするなど、特定の人ばかりが発言することの無いよう気を配ることや、メンバーの発言内容について、まずはリーダー自身が否定せずに受け入れるという姿勢を積極的に見せていくことも重要です。
その他、何のために議論しており、最終的にどうしたいのかという目標や価値観を共有すること、あるいは、月に1回チームでランチをするなど、日ごろのコミュニケーション量を増やしていくことなども、場合によっては心理的安全性を高める有効な手段かもしれません。
職場やチームメンバーの個性に合わせて、最適な方法で信頼関係を築いていけると良いですよね。
3. まとめ
以上、2回にわたって心理的安全性について学んできましたが、心理的安全性を高める、つまり組織のメンバーがお互いに率直に意見を言い合える、話しやすい組織をつくることは、まさに、「言うは易く行うは難し」だと思いました。
心理的安全性を高めるためには、時間をかけて浸透させていくというリーダーの根気と、メンバーの理解し受け入れようとする努力の両輪があって初めて成り立つものであるのだと、考えさせられました。
心理的安全性を高めるうえでのリーダーの役割は大きいですが、リーダー任せにするのではなく、メンバー自身も当事者意識を持って取り組んでいかなければならないですね。
今回の学びは、もし今後の自分のキャリアにおいて、組織の上に立つようになることがあったとしたら、積極的に心理的安全性を高めていく努力をしようと決心した、有意義な時間となりました。
長くなりましたが、今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


